米JDエドワーズのハンク・ボンディ氏  日本ジェイ・ディ・エドワーズ(http://www.jdedwards.co.jp)が8月15日から,ERPパッケージ(統合業務パッケージ)を中核に,関連するさまざまなパッケージ・ソフトを統合した「J.D. Edwards 5」を出荷する。ERPパッケージ「OneWorld Xe」の後継ソフトのほか,CRM(カスタマ・リレーションシップ・マネジメント)ソフト,SCM(サプライチェーン・マネジメント)ソフト,BI(ビジネス・インテリジェンス)ソフト,開発ツールなど,大きく7種類のカテゴリの製品で構成する。

 米JDエドワーズのハンク・ボンディ上級副社長兼COO(最高執行役員)は,「ブランド力を強化するため,当社としては初めて,J.D. Edwardsという企業名を製品名として使った。従来の製品体系では,ERPパッケージやSCMソフトなど,カテゴリによって名称がバラバラだった。機能の切り分けが,顧客企業のニーズに合致していない面もあった。こうした問題を解決することが狙いだ」と語る。

 製品名や製品構成を刷新するだけでなく,「顧客企業が必要とするモジュールだけを売る」(ボンディCOO)という新たな販売方式を採用する。ERPパッケージを例にとると,顧客企業から会計と在庫管理の機能だけがほしいという要望があれば,会計モジュールと在庫管理モジュールだけを切り出して販売する。顧客企業にとっては,「少ない初期投資でシステムを構築できる」(同)という利点がある。

 従来は,すべての機能が必要かどうかに関係なく,顧客企業は複数のモジュールを“買わされていた”格好だった。そのため「高い買い物をさせていた面は否めない」(ボンディCOO)。ライバルの独SAPは,現在もこうした販売方法を続けているが,これでは「顧客企業との関係が希薄になっていく」とボンディCOOは断言する。

 ボンディCOOは,「まず一つのモジュールでもよいから顧客企業に販売し,その後は長期にわたる継続的な関係を築きたい。顧客企業に最適なモジュールを提供できる体制を敷き,顧客満足度を高めたい。相手の都合も考えないで多くのモジュールを一度に売りつけ,さっさとサヨナラするような企業は,今後は立ちゆかなくなるだろう」と指摘した。

戸川 尚樹=日経コンピュータ