富士総合研究所は,8月20日に開催予定の株主総会でみずほ総合研究所との事業統合を限定的なものにとどめることを正式に決定する。旧第一勧銀総合研究所と旧日本興業銀行調査部を統合して4月1日に発足したみずほ総研には,旧富士銀行系の富士総研のほとんどは合流しないことが確定する。みずほグループ内にはみずほ総研と富士総研の二つの「総合研究所」が存在することになる。将来,富士総研がみずほグループ外に出る可能性も取り沙汰されている。

 8月20日の株主総会では,富士総研の企業年金コンサルティング・みずほ運用商品評価部門,経済動向などを調べる調査研究部門,経営コンサルティング部門,旧富士銀行の取引先を対象にした会員事業部門などを10月1日に分割,みずほ総研に継承することが決まる。富士総研の社員約2500人のうち,100人程度がみずほ総研に移るだけである。

 約2400人が残留する富士総研には当面,(1)一般企業や政府などの外部からシステム・インテグレーション(SI)や運用を受託する部門と,(2)官庁や自治体などから委託されて研究を行うリサーチ・サイエンス部門,(3)みずほ銀行やみずほコーポレート銀行のSI/運用を行う部門が残る。

 このうち,(3)のみずほ銀行やみずほコーポレート銀行などのSI/運用を行う部門については,「すでに発表した通り,みずほグループの他のシステム関連会社である第一勧銀情報システムや興銀情報システム開発と将来統合する」(みずほホールディングス広報部)。つまり今後の富士総研の中心となるのは,(1)外部からのSI/システム運用を受託する部門と(2)リサーチ・サイエンス部門であり,みずほグループ本体と直接関係する事業はなくなる。

 このため,富士総研がみずほホールディングスから独立し,独自の道を歩むという観測も出てきた。今後進む方向の一つとして考えられているのは株式市場への上場である。現在の富士総研の主要株主はみずほホールディングスやみずほの関連会社なので,上場後に株式を売却すればみずほ側は利益を得ることができ,不良債権処理などに充てられる。

 もう一つの方向性は,他のシステム・インテグレータとの合併/買収である。これでもみずほ側は株式売却益を得ることができる。大手インテグレータ数社の名前が候補に挙がっている。

安保 秀雄=日経コンピュータ