「テストは甘くない。テスト・ツールを使えば,作業を完全に自動化できると思ったら,大きな間違いだ。特にシステムの機能を確認するテストを実施する場合は,テスト・ツールを使い込んで,その特徴を熟知する必要がある」。

 日本ユニシス Eテクノロジ&サービス部の羽田昭裕メソドロジ&アーキテクチャ課長は,自身が手がけたシステム構築プロジェクトを振り返って,こう言い切る。

 羽田氏はかつて,こんな経験をしたという。「Webシステムの機能の検証にテスト・ツールを使ったとき,仕様上はまったく問題のない部分で,すべてのテストケースがエラーと認識されたことがあった」。テスト・ツールは融通がきかないことを痛感し,同氏はその後,テストに対する取り組み方を見直したという。

 もちろん,プログラムの単体テストを支援するテスト・ツールは,テストを効率化するうえで大いに役立つ。だが,機能テストを含む,あらゆるテストを完全に自動化するのは難しい。このことを,テスト・ツールのユーザーは認識するべきだ。

 テスト・ツールが万能ではないということについては,ツールを提供しているベンダーも同意する。日本ラショナルソフトウェア マーケティンググループの渡辺隆マネージャーは,「テスト・ツールはあくまでもテストを“支援する”ためのもの。ツールの利用者は,テストの計画を立てる段階から慎重に準備することが欠かせない」と話す。

大和田 尚孝=日経コンピュータ