情報システムの企画・立案,開発,運用などに携わるITプロフェッショナルの3割が,「2002年度の年収は2001年度よりも減る」と回答――。日経コンピュータがIT Proの協力を得て実施している「ITプロフェッショナルの給与・処遇に関するアンケート調査」の中間集計から,ITプロフェッショナルの厳しい状況が浮かび上がった。

 7月29日昼の中間集計(有効回答者数は2122人)によれば,2001年度の年収が「前年度(2000年度)よりも増えた」と回答したのは,全体の51%とほぼ半数。ところが,2002年度の年収が「前年度(2001年度)よりも増える見込み」は33%にとどまった。

 一方で,2002年度の年収が「前年度より減る見込み」は33%。2001年度の年収が「前年度よりも減った」の21%よりも大きく増えた。「前年並み」との回答も,2002年度は2001年度よりも5ポイント増えて33%になった。

 ITプロフェッショナルはこのような現状に対して,大きな不満を抱いている。全体の6割が,2001年度の年収に対して「不満」もしくは「やや不満」であると回答した。不満の理由として,最も多かったのは「自分の仕事の成果が十分に反映されていないから」。「自分の能力が十分に反映されていないから」がこれに続く。

 この不満は,IT業界で導入が進みつつある成果主義による評価制度と関係があるとみられる。「成果や能力による評価が自分の給与に反映されている」ITプロの中で,自分の成果や能力が「正しく評価されていない」もしくは「あまり正しく評価されていない」とする回答は52%に達した。さらに,人事評価制度が仕事のモチベーション(やりがい)を向上させるのに「まったく貢献していない」もしくは「あまり貢献していない」と回答したのは,7割に上った。

 会社に対して,この状況の改善を求める声は多い。全体の6割が,人事評価制度を「早急に見直すべき」もしくは「1年以内に見直すべき」と回答した。IT企業にとって,人事評価制度の改善は急務となっている。

鈴木 淳史=日経コンピュータ