「勘定系システムの開発や運用を日立にアウトソーシングするものの,決して丸投げはしない。むしろ,日立と“コ・ソーシング”(協業)するつもりで取り組んでいく」。UFJ銀行の中村正人常務執行役員は7月25日,日立製作所との情報システムのアウトソーシング契約に関する記者発表会の場で,こう語った。

 UFJ銀行と日立製作所が締結したアウトソーシング契約は,UFJ銀行の勘定系システムを対象とする開発業務に加えて,情報系システムをはじめシステム全般を対象とする運用業務。契約金額は,2002年10月1日からの10年間で約2500億円。これによりUFJ銀行は,10年間で約350億円のコスト削減を見込む。

 日立製作所はアウトソーシング契約が始まる2002年10月1日をメドに,アウトソーシング事業を受け持つUFJ銀行の100%システム子会社「三和システム開発(http://www.sanwa-ssd.co.jp/)」に49%出資。これによりUFJ銀行の出資比率は51%になる。日立の出資を受けて,三和システム開発は「UFJ日立システムズ(仮称)」に社名を変更する。「UFJ日立システムズには当初,日立製作所から10人程度の社員と3人程度の非常勤役員を出す」(日立製作所の小野功 専務 情報事業統括本部長)。

 一方,三和システム開発と同じくUFJ銀行系のシステム・インテグレータであるユーフィット(http://www.ufit.co.jp/)については,「従来どおり,情報系システムなど勘定系以外の開発を担当してもらう。三和システム開発との統合は,現時点では考えていない」(UFJ銀行の中村常務)。

 UFJ銀行は勘定系システムのソフト資産を,日立グループの日立キャピタルに約500億円で譲渡する。日立製作所は日立キャピタルからソフト資産のリースを受けて,アウトソーシング事業を進める。

大和田 尚孝=日経コンピュータ