乳酸菌飲料大手であるカルピスが,工場から出荷した製品の配送経路を追跡するための新システム「トレーサビリティ・システム」を6月から本格稼働させている。「工場で生産したカルピスやカルピスウォーターなどが,いつ出荷され,いつ卸などの1次納入先に到着したのかを,Webブラウザで瞬時に正確に把握できるようになった」(カルピスの片山賢治営業ロジスティックスセンター部長)。

 新システムでは,パレットに積んだ製品の一つに,製品名や製造年月日・時刻に関する情報を埋め込んだバーコード・ラベルを張りつける。パレットには同一の製品だけを積み,同一の拠点に運ぶため,バーコード・ラベルを一つの製品に張るだけで,製品を特定できる。

 バーコード・ラベルは,カルピスの工場から1次納入先に出荷する時点や,外部の物流センターに到着した時点に,バーコード・リーダーを使って読み込む。読み込んだデータを,社内のWindows NTサーバーで管理することで,製品の所在を把握できる。

 同社は約1億円を投じてシステムを自社開発した。狙いはリスク管理の強化にある。片山部長は,「新システムがあれば,もし製品に異常が発見されても,迅速に製品を回収できる。売り上げを増大させたり,仕事の効率を高めることよりも,リスク管理を徹底する目的で構築した」と語る。食品の安全性に対する関心が高まるなか,同社は昨年から新システム開発のプロジェクトを進めていた。

戸川 尚樹=日経コンピュータ