全国建設産業団体連合会(全国建産連,http://www.kensanren.or.jp/)とマイクロソフト日本法人は7月8日,中小規模の建設業者向けの情報化普及の取り組みについて協業することを発表した。全国建産連の会員に向けて情報化セミナーを共同で開催することで,中小の建設業者に対して,パソコン利用の普及を目指す。全国建産連は35府県の建産連からなり,ゼネコンや建設関連業者が結成した約1100の業界団体が参加している。会員業者数は22万社にのぼる。

 「2004年までに,国土交通省が担当する公共工事の入札や調達業務はすべて電子化されることが決まっている。他の公共工事についても,2010年にはすべて電子化される。だが,建設業界全体では,IT化が進んでいないのが現状。社員数100人以下の中小建設業者が業界全体の99%を占めるといわれている業界各社のITリテラシを,マイクロソフトと協力して高めていきたい」と,全国建産連の小野澄治専務理事は意気込む。

 全国建産連はマイクロソフトと協業することで,これまで進めてきた中小業者に対するパソコン普及の活動を強化する。「マイクロソフトと直接手を組むことで,WindowsやOfficeといった同社製品を,会員各社に長期間安心して使ってもらうための支援体制を整えられる」(小野専務理事)。一方,マイクロソフトは協業をきっかけに,建設業界の中小企業に対して同社製品を普及させることを目指す。

 全国建産連とマイクロソフトが共同で実施するセミナーは,「電子納品講習会」と「IT化セミナー」の二つ。電子納品講習会では,ワープロや表計算ソフトで書類データを作成して国土交通省に納品する「電子納品」の方法を教える。IT化セミナーでは,中小企業の経営者に向けて,システムを利用した情報化の推進方法などを成功事例を交えて解説する。

 電子納品講習会は3万円の受講料がかかる。IT化セミナーは無料で受講できる。2002年8月の熊本を皮切りに各地の建産連で実施する。2003年6月までに全国建産連に加盟する企業のうち,約3000社に受講してもらうことを目指す。2006年12月までには2万2000社の受講を目標に,講習会やセミナーを継続して実施していく。

西村 崇=日経コンピュータ