マイクロフォーカスのヒルCEO 「2年前には『COBOLはJavaに取って代わられる』という見方が出ていた。それどころか過去20年以上,『COBOLは死んだ』と言われ続けている。しかし,現実はそうではない。COBOLはJavaやWebサービス,マイクロソフトの .NET(ドットネット)のような新たな技術と共存する形で,今後も生き続ける」。オープン系COBOLベンダーの英マイクロフォーカス(http://www.microfocus.com/)で社長兼CEO(最高経営責任者)を務めるトニー・ヒル氏(写真)は強調する。

 マイクロフォーカスは,UNIXやWindowsなどのオープン系OSで動作するCOBOL製品ベンダーの老舗。1998年6月に構成管理ツール「PVCS」などの開発/販売元だった米インターソルブを買収,99年2月に社名をメラントに変更した。ところが,「COBOLに対するビジョンの違いがあった」(ヒルCEO)ため,2001年8月にマイクロフォーカス部門を分社化。独立会社として,新たなスタートを切った。

 ヒルCEOは,「顧客は,自分たちのCOBOL資産がどれだけ重要な価値があるかよく分かっており,それらをできるだけ使い続けたいと考えている」と話す。再出発したマイクロフォーカスの役割を,「顧客の持つ既存のCOBOL資産を生かしながら,新たな技術やプラットフォームを活用したアプリケーションを実現できるよう支援すること」と位置づける。

 Javaに関しては,すでにCOBOLサブルーチンをJavaから呼び出したり,逆にCOBOLからJavaを呼び出す仕組みを提供している。今後,同社のソースコード解析ツール「Revolve」を強化し,COBOLだけでなくJavaのソースコードに関しても影響分析(コードを修正したときにどれだけ他の部分に影響を与えるかを調べること)を可能にする。

 Webサービスについては,Webサービス開発・実行用ミドルウエアを提供するアイルランドのケープ・クリア・ソフトウエア(http://www.capeclear.com/)と2002年3月に提携。6月には,COBOL資産をWebサービスとしてケープ・クリア製品上で利用可能にした。一方で .NET対応も進めており,「マイクロソフトの開発ツールVisual Studio .NETと統合利用できる製品を開発中」(ヒルCEO)である。

 並行して,稼働プラットフォームの拡充も進めている。現在サポートしているWindowsと主要UNIXに加えて,IBMのLinux搭載メインフレーム(zSeries),およびWindows,AIX,hp-uxの64ビット版への対応を進めている

 ヒルCEOは,「欧米,日本に限らず,COBOL資産の移行は顧客にとって大きなテーマ」と話す。「日本ではメインフレームからオープン系プラットフォームへの移行が多いのに対し,欧米ではヒューレット・パッカードのHP3000(独自OSのMPEを搭載するサーバー)やワングのミニコンといった“燃え尽きた”マシンからの移行が多い」と指摘する。

田中 淳=日経コンピュータ