国立競技場に集結したサッカー・ファン サッカー・ワールドカップ(W杯)の準決勝,ドイツ対韓国の試合が行われた25日夜,東京・国立競技場で催された公開中継イベント「パブリックビューイング」に,インターネットの掲示板などで呼びかけ合ったユーザー約1000人が「フェア・ジャッジ(公正な審判)」を訴えるために集結した。

 このイベントは,在日本大韓民国民団(民団)を中心とする韓国側サポーター約3000人と,ドイツ側サポーター約1000人が,それぞれ大型スクリーンの向こうのピッチに向かって熱い応援合戦を繰り広げた。このドイツ・サポーターのほぼすべてが日本人,しかも,そのほとんどがインターネットで呼びかけ合って集まったというのだ。

 彼らの目的は,「ドイツを応援すること」と「フェア・ジャッジを訴える」こと。W杯開催以降,ヤフーや2ちゃんねるといった有名なインターネット掲示板では,相次ぐ微妙なジャッジに対する批判の声が噴出しており,その有志が国立競技場に集結したというわけだ。

 インターネットでの呼びかけが始まったのは23日昼過ぎから。2ちゃんねるでは「国立競技場ドイツ応援オフ」などと銘打ったコーナーが立ち上がり,「韓国での試合やジャッジに不平や不満がある人は国立に集まって訴えよう」と呼びかけ合う一方で,「サッカーを楽しむという紳士な姿勢を忘れずに」という注意も喚起し合った。

 ドイツ側の応援についた理由は「微妙なジャッジが韓国戦に集中していたから」(大学生・22歳男性)だという。各自「FAIR JUDGE PLEASE」などと書かれたパネルを持参し,ハーフタイムには報道陣に向かってアピールする姿も見られた。かといって険悪な雰囲気になることもなく,試合中はドイツ側,韓国側ともに真剣な応援合戦を繰り広げた。試合終了後は両サポーターによるエール交換もあった。

 仕事帰りに“国立オフ会”に参加した32歳の男性は,「ヤフーの掲示板を見て急きょ来ることにした。これほど大勢の人がインターネットを通じて集まったのは初めてだと思う。インターネットのパワーを感じた」と話していた。

井上 理=日経コンピュータ