みずほホールディングスは6月19日,みずほ銀行が4月に引き起こしたシステム障害の原因を正式に発表した。みずほホールディングスの前田晃伸社長は,口座振替やATM(現金自動預け払い機)にかかわるトラブルの原因を,「プログラムやJCL(ジョブ制御言語)の不具合,入力データの不備などが重なって起こったもの」と説明。「事務処理に関する手作業の混乱がさらに被害を拡大させた」と述べた。

 さらに前田社長は,こうした状況を生み出した根本的な原因が,システム統合作業そのものにあったことを認めた。「テストやリハーサルなどの事前準備が不十分だった。統合プロジェクトの管理体制に問題があり,進ちょく状況を正しく認識できなかった。大規模なトラブルが発生したときのコンテンジェンシー・プランもなかったので,復旧に手間取った」。

 前田社長は現状について,「システムの不具合はすべて修正済みで,現在は安定稼働している」としながらも,“完全復旧”を宣言するのは難しいと話した。「今後,障害がいっさい起こらないとは断言できない。復旧後の稼働実績で判断してもらいたい」と説明するのにとどまった。

 みずほホールディングスは今後,「プロジェクト管理の手法を見直すとともに,システム監査を強化する。開発体制を強化するために,システム子会社である第一勧銀情報システム,富士総合研究所,興銀システム開発の合併を目指す」(前田社長)。

大和田 尚孝=日経コンピュータ