ガートナー ジャパンのデータクエスト部門は,2002年の国内のITサービス市場が伸び悩むと予測した。6月14日に同社が発表した対前年比成長率は5.6%で,「過去最低の水準」(ガートナー)という。

 2002年に低成長にとどまるのは,景気低迷により企業がIT関連投資全般を手控えているためという。実際に,大規模プロジェクトやROI(Return On Investment,投資利益率)が不明なプロジェクトを凍結したり,先送りするユーザー企業が出始めている。さらに,新規投資を手控え既存のIT資産を活用しようという意向が強まっているとする。

 ITサービス市場の伸び悩みの原因を分野別に見ると,もっとも低成長になると予測しているのが「ハードウエア保守サポート・サービス」である。ハードウエア価格の下落や出荷減少傾向などが影響して,成長はほとんど見込めないという。

 ただし,高い成長率を見込んでいる分野もある。「ITマネジメント・サービス(ITの運用管理業務の代行)」の対前年比成長率は10.0%と最も高い。業務の外部委託が2002年に加速するのが原因だ。人事・経理・コールセンター業務なども含め,コア・ビジネス以外でのアウトソーシングも進むという。中小企業のIT関連の人材不足も,業務の外部委託に拍車をかけると見ている。

 ただし,ITサービス市場が頭打ちになることはなく,2005年までの年平均成長率は7.7%で伸びると推定している。2001年のITサービスの国内市場規模は7兆8750億円だったが,2005年には10兆5864億円に達すると予測している。

広岡 延隆=日経コンピュータ