「旧バージョンの販売やサポートを永遠に続けるのは,現実的には難しい。技術者を新製品の開発に割り当てなければならないからだ。しかし,ある日突然に製品の販売を取り止めれば,利用者に迷惑がかかる。だからこそ,旧バージョンの提供期限を明確に発表していく」。マイクロソフト製品マーケティング本部Windowsサーバー製品部でシニアプロダクトマネージャを務める荒井一広氏は,こう語る。

 荒井氏はWindows NT Server 4.0を例に説明する。「2002年6月30日にはパッケージによる販売と,ハードウエア・メーカーにプレインストール用製品を提供するのを打ち切る。続いて2003年6月30日には,正規販売代理店向けの提供を終了。セキュリティ以外の機能に関する修正ファイルのリリースは,2003年12月31日で終える。こうした発表をしたのは2001年12月。これからも提供期限が来る前に,旧バージョンの販売期限やサポート期限を明確にしていく」。

 マイクロソフトが旧バージョンの販売やサポートを打ち切ることに対して,利用者からは不満の声も上がっている。旧バージョンを使い続ける利用者に“迷惑”がかからないようにするには,製品の提供期限を明確にするだけでなく,マイクロソフトが信頼性の高い製品を提供するのが大前提である。

 荒井氏は,「サポート期限を過ぎても,セキュリティに関するバグが見つかった場合の修正ファイルは,引き続き無償で提供する」と強調する。さらに,「製品の提供期限を過ぎても,旧バージョンを入手する方法はある。例えばWindows2000 Serverのライセンスを購入してダウングレード権を使えば,2002年7月以降でもNT Server 4.0を入手可能」(荒井氏)という。

 ただし,Windows2000 Serverの価格は13万円(「Open License」を使い5ライセンス購入した場合,価格は本誌推定)と,Windows NT Server 4.0の8万2200円(同)より4万7800円高くつく。

大和田 尚孝=日経コンピュータ