コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS,http://www.accsjp.or.jp/)と日本レコード協会(RIAJ,http://www.riaj.or.jp/)は5月29日,「Napster」や「WinMX」といったファイル交換ソフトの国内における利用実態の調査結果を発表。これまで約145万人のインターネット利用者がファイル交換ソフトを利用した経験があることや,約7500万件の音楽ファイルがインターネット経由でダウンロードされていると報告した。

 「7500万件もの音楽ファイルが違法にダウンロードされていることで,CD販売といったビジネスに対して大きな影響を与えていると見ている。ブロードバンドの普及に伴って,違法なファイル交換ソフトの利用がますます増えてくるだろう。今後も著作権侵害への対策を強力に進めていく」と,RIAJの生野秀年常務理事は気を引き締める。

 今回の調査結果は,2002年1月9日から1月15日の間にインターネットを使って実施したアンケート調査の結果をもとにしている。ACCSとRIAJは,2万1060人から寄せられたアンケート結果から,国内のインターネット利用者全体の推計値を算出している。

 ACCSとRIAJは,2001年5月にも同様の調査を実施した。2001年の調査では,ファイル交換ソフトの利用者は国内で約100万人という結果だったが,2002年1月の調査では約68万人に減少。ACCSとRIAJはファイル交換ソフトNapsterを使うサービスが停止したり,2001年11月に国内でWinMXの利用者が摘発されるといったことが報道されたことが減少した理由ではないかと見ている。ただし,2001年から2002年にかけて,約45万人が新たにファイル交換ソフトの利用を始めたことになる。

 2002年1月のアンケート結果によると,現在ファイル交換ソフトの利用を控えているユーザーのうち,約4割が“また利用したい”と回答している。「ファイル交換ソフトの違法利用が急激に広がっていく可能性は依然高い」と,ACCSの久保田裕専務理事は見ている。

西村 崇=日経コンピュータ