エキサイト オフィス翻訳の画面例
エキサイト オフィス翻訳の画面例
 ポータル大手のエキサイトは5月30日から,マイクロソフト製Officeの日本語ファイルを英語・韓国語に,または英語・韓国語ファイルを日本語に,インターネット経由で翻訳するASPサービス「エキサイト オフィス翻訳」を開始する。6月末までは無料で,7月からは月額350~700円で提供する。パソコンにインストールして利用するOffice向け翻訳ソフトなどはあったが,ネット経由のOffice向け翻訳サービスは世界初だという。

 翻訳の対象はWord,Excel,PowerPoint,Outlook(Express)の各ファイル。専用のプラグイン・ソフトによりメニュー・バーに追加された翻訳ボタンを押すと,自動的に翻訳サーバーに接続し,数秒から数十秒で翻訳後のテキストが表示される仕組み。PowerPointの翻訳では,図表のテキストまで翻訳し,フォントの大きさを自動調整する機能も備える。ファイルの大きさに制限はなく,選択範囲のみの部分翻訳も可能。

 インターネット経由で提供するASP方式の翻訳サービスは従来の翻訳ソフトに比べて,「月々数百円と気軽に利用できる」,「バージョン・アップなしに最新の辞書データや新機能を利用できる」,「翻訳処理が早い」などのメリットがある。例えば翻訳速度に関しては,エキサイトが三つの翻訳ソフトを使って570語のWord英語ファイルを翻訳したところ,エキサイト オフィス翻訳は表示まで6秒だったのに対して,翻訳ソフトでは12.95~105秒もかかったという。テキストのみを抽出して翻訳サーバーと交信するため,「通信環境にはあまり影響されない」(エキサイト広報)。

 エキサイトは,多言語翻訳アプリケーションを提供する米アミカイ日本法人の協力を得ることで,今回の翻訳サービスを実現した。すでに,アミカイのアプリケーションを利用したテキスト・Webサイト翻訳サービスを,エキサイトのホームページ内で無償提供しており,月間の利用者数は120万人で,1日あたりのアクセスは100万ページビューあるという。新サービスはこの発展形にあたり,「ボタンによる一発翻訳」という利便性の対価として料金を徴収することにした。

 利用料金は,6月末までは無料キャンペーン期間とし,7月末から12月末までは「日本語 <-> 英語」が月額350円,「日本語 <-> 英語・韓国語」が月額550円のキャンペーン価格で提供する。2003年1月以降は,それぞれ500円,700円の通常料金とする。翻訳の頻度によらず,何度でも翻訳サービスを受けられる。翻訳エンジンの辞書は,例えば「日本語 -> 英語」で25万語,「日本語 -> 韓国語」で40万語。3カ月ごとに,頻出語句や単語のデータを見直す。

 サービス開始日は,サッカー・ワールドカップ開催日の前日にあたる。エキサイトでは,「メール・ソフトのOutlook,Outlook Expressにも対応しているため,ワールドカップを機に翻訳サービスで日韓交流を進めて欲しい」と話している。

井上 理=日経コンピュータ