シスコシステムズは5月24日,ルーター,スイッチ用のOSである「IOS」の新機能群「Globally Resilient IP」を発表した。複数のルーターを1個のルーターとして動作させる機能を追加することで,障害回復までの時間と冗長性を高めた。6月以降順次,シスコシステムズのルーター「Cisco12000」,「同10000」,「同7500」シリーズのIOSに実装していく。

 Globally Resilient IPは,ルーティング情報を複数のルーターが共有することにより,特定のルーターに障害が発生した場合にルーターが切り替わるまでにかかる時間を短縮する。「従来はMPLS(マルチプロトコル・ラベル・スイッチング:大規模ネットワークで高速にパケット転送するための仕組み)を使った通信で,ルーターに障害が発生した場合,切り替えに数十秒かかっていた。新機能を使えば切り替え時間を50ミリ秒まで短縮できる」(シスコシステムズの木下剛マーケティング統括コアテクノロジーマーケティング本部長)。最大4台のルーターの間でルーティング情報を共有できる。

 また,各種のセッション情報を共有することで,ルーターが切り替わっても,ユーザーは通信を続けることができる。セッションを継続できる通信回線には,IP,ATM(非同期転送モード),フレームリレー,イーサネットなどがある。ほかにも,MPLS,VPN(実質的な専用線網)を構築する場合に使う暗号化方式のIPSec,プライベート・アドレスのパソコンからインターネットに通信するためのNAT(ネットワーク・アドレス変換)などを使った通信が継続して行える。

鈴木 孝知=日経コンピュータ)