「新規分野だけでなく,本業であるERPパッケージ(統合業務パッケージ)の機能を継続して強化し,顧客の経営ニーズに必ず応えていく。絶対にみなさんをがっかりさせないことをここで約束します」。

  ERPパッケージで世界第二位の座にある米ピープルソフトのクレイグ・コンウェイCEO(最高経営責任者)は5月21日,都内のホテルで開催されたセミナーで,集まった1000人強の聴講者に向けて,こう宣言した。

 製品の機能強化として目を引くのは,「ヒューマン・キャピタル・マネジメント(HCM)」と呼ばれる分野である。HCMは従来の人事・給与管理とは異なる概念で,「戦略的な人事・給与システムを構築するためのモジュールになる」(コンウェイCEO)。

 HCMは,社員の働きに応じた報酬管理や,教育プランの立案,社員のスキル管理,プロジェクトに対する適正な人材配置などの業務を支援する機能を備える。国内では年内にも新モジュールを出荷する計画だ。

 ERPパッケージ以外でも,ピープルソフトは,CRM(カスタマ・リレーションシップ・マネジメント)やSCM(サプライチェーン・マネジメント),EIP(企業情報ポータル)といった新規分野に向けたソフトを順次強化していく。

 コンウェイCEOは,「昨今の極めて厳しいビジネス環境においても,当社の2001年度の業績は好調でライセンス収入は前年比30%増,営業利益も2倍になっている。これからまだまだ伸びる」と自信満々だ。

 好業績を牽引しているのが,ERPパッケージ「PeopleSoft8」,CRMソフト「PeopleSoft8 CRM」。コンウェイCEOは,「当社の製品は100%インターネット対応。これが特に市場で高い評価を得ている。ライバル他社の製品を見ても,インターネット対応が完全に実現されてはいない」と胸を張った。(戸川 尚樹=日経コンピュータ