電子認証サービス大手の日本ベリサイン(http://www.verisign.co.jp/)は5月14日,新事業としてドメイン登録サービスとオンライン決済サービスに乗り出すと発表した。前者は,これまでアスキーが提供していたドメイン登録サービスの資産を譲り受け,5月27日に開始する予定。後者は,オンライン決済サービスを提供しているNTTコミュニケーションズ(NTTコム)と業務提携し,7月1日に始める予定である。

 日本ベリサインはこれまで,電子証明書を利用してWebサイトや個人の“身元”を保証する電子認証サービスなど,インターネット関連のセキュリティ・サービスを中核事業として手がけてきた。今回発表したドメイン登録とオンライン決済は,セキュリティに続く,EC(電子商取引)向けの新たな基盤サービスと位置づける。これにより,「ECの“川上”から“川下”までを支援するワンストップ・サービスを提供できる」(日本ベリサインの川島昭彦社長兼CEO)としている。

 新たに手がけるドメイン登録サービスは,「.com」,「.org」,「.net」といった「gTLD(ジェネリック・トップレベル・ドメイン)」などを対象にする。アスキーの既存サービスを,「ベリサイン ドメインネーム サービス」の名称で引き継ぐ。同様のサービスを提供している企業はほかにもあったが,「事業規模やノウハウに注目して,アスキーを選択した」(川島社長兼CEO)という。一方,NTTコムとの業務提携によるオンライン決済サービスは,「ベリサイン ペイメント サービス」として提供する。

 いずれも,先行企業の既存サービスをそのまま生かすことで,素早く新事業に着手する狙いがある。これについて日本ベリサインは,「時間を買った」(川島社長兼CEO)と表現している。

 同社は新サービス発表の記者会見で,売り上げ目標を明らかにしなかった。新サービスそのもので大きな収益を上げるというよりも,新サービスをセキュリティ・サービスの付加価値として提供することで,中核事業の拡大を促進する意図もうかがえる。

 なお日本ベリサインは今回の発表に合わせて,ニフティなど国内ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)7社との提携も発表した。個人向けの電子証明書発行サービスを,ISPと同社の“共同ブランド”という形で,7月から提供する。

松浦 龍夫=日経コンピュータ