日本マクドナルドの八木社長兼COO(左)とソフトバンク・グループの孫代表(右) ソフトバンク・グループは5月7日,全国3800の日本マクドナルドの店舗を対象に,無線LAN(IEEE802.11b)を使ったホットスポット・サービスを開始すると発表した。すでに東京都内の20店舗で接続実験を進めており,5月20日からは実際に顧客がサービスを利用する実証実験に入る。この結果を見ながら順次,本サービスに移行する。サービスの利用料金は月額1580円から。利用の申し込みは店舗でも可能。ADSL接続サービス「Yahoo!BB」の顧客は,現在の月額利用料に980円を追加すれば利用できる。

 有償のホットスポット・サービスは,モバイルインターネットサービス(MIS)が4月1日から先行してサービスを提供しているが,サービス地域はまだ東京の一部に限られ,しかも駅や街頭が中心になっている。ソフトバンクは日本マクドナルドとの提携で,ホットスポット・サービスを全国展開させ,一気に普及を図る考え。「顧客の要望の多い店舗や,通信回線を引き込む環境の良い店舗から順次,ホットスポット・サービスを利用できるようにしていく」(日本マクドナルドの八木康行社長兼COO,写真左)。ソフトバンク・グループの孫正義代表(写真右)は,「マクドナルドは着席型で多くの店舗があり,顧客も集まりやすい。最も望んでいた形でサービスを開始できることはすばらしい」と自賛する。

 ホットスポット・サービスを提供する店舗側には,顧客が長時間居座ったり,店員が技術的なサポートを求められる,といった問題が生じる恐れがある。「サポートは最も大きな懸念材料だが,機器のメンテナンスも含めてソフトバンク・グループがすべてを請け負うことになっている。店舗での顧客の滞在時間が伸びる影響については,あまり考慮していない」(日本マクドナルドの八木社長兼COO)とした。

 ソフトバンクは,マクドナルドの店舗でインターネット接続サービスのほかに,IP電話サービスも提供する。孫代表は,一つのネットワーク・インフラを用意し,ADSL接続サービスやホットスポット,IP電話に利用して収益を上げることができる状況を,「シングル・インフラ,トリプル・インカム」と呼び,各サービスをそれぞれ単体で提供する他の通信事業者と比べて競争上の優位性があることをアピールした。

坂口 裕一=日経コンピュータ