東京地方裁判所は4月26日,ドメイン名「goo.co.jp」を所有する有限会社ポップコーン(岡山県倉敷市)が検索サイトgooを運営するNTT-X(http://www.nttx.co.jp/)を提訴した裁判で,原告ポップコーンの提訴を棄却する判決を下した。ポップコーンは今後2週間以内に控訴しなければ,「goo.co.jp」の所有権を失うことになる。

 この裁判の発端は,NTT-Xが2000年11月に,JPドメイン紛争処理機関の工業所有権仲裁センターに対して,「goo.co.jp」の所有権の移転を申し立てたことにある。「goo.co.jp」は,1996年8月にポップコーンが登録したドメイン名。ポップコーンは1996年10月に,「goo.co.jp」に女子高生向けコミュニティ・サイトを立ち上げた。

 一方NTT-Xのgooは,NTTアドが1997年3月にドメイン名「goo.ne.jp」で提供を開始した検索エンジン。NTTアドはこれに先立ち,97年1月に「GOO」の商標登録を申請し,1999年1月に認められた。NTTアドは1999年にgooの運営をNTT-Xに譲渡,以後はNTT-Xがgooのサービスを提供している。

 問題は,ポップコーンが1999年9月ごろに「goo.co.jp」をアダルト・サイトへの転送サイトに変更したことだ。このころから,「gooのユーザーから,『goo.co.jp』を入力するとアダルト・サイトに飛んでしまう,などの苦情が相次いだ」(NTT-X)。NTT-Xは問題を解決するため,ポップコーンに「goo.co.jp」の移転を求めた。ところがポップコーンは,「goo.co.jp」の先有権を主張したことに加え,「検索サイトgooのブランドを利用しようとしたわけではない」としていた。

 そこでNTT-Xは工業所有仲裁センターに「goo.co.jp」の所有権の移転を申し立てた。同センターはNTT-Xの主張を認め,2001年2月7日にポップコーンに対して「goo.co.jp」の移転を命じる裁定を下した。これを不服としたポップコーンは,2001年2月16日にNTT-Xを相手に東京地裁に提訴。これが今日の判決に至った。

 東京地裁は,NTT-X勝訴の判決を下した主な理由として,「検索サイトgooの知名度が高いこと」や「検索サイトgooが有名になった後に『goo.co.jp』をアダルト・サイトに変更し,インターネット・ユーザーの誤りに乗じて利益をあげていたこと」,「ポップコーンが『goo』や『goo.co.jp』の名前で一般的に認識されていないこと」などを挙げた。

 NTT-Xは今回の判決を,「先有権があったとしても,それが不正に使用されたときには当該ドメイン名の利用は認められないという正しい判決だ」と声明を発表。「もし,今後ポップコーン側が控訴することがあっても,同じ姿勢を貫く」(NTT-X)としている。

島田 優子=日経コンピュータ