富士通とNECが4月25日,2001年度(2001年4月~2002年3月)の決算を発表した。コンピュータ部門の連結売上高は,富士通が前年度比4%減の3兆7800億円,NECが同1%減の2兆2100億円で,いずれも減収に終わった。企業の情報化投資が上昇基調にあることを受けて,システム・インテグレーション(SI)を中心とするソフト/サービス事業は堅調に伸びた。しかし,パソコン事業の不振が,この伸びを“ご破算”にしてしまった。

 富士通のソフト/サービス事業は3%増の2兆1400億円。「2001年9月の米国テロ事件以降,海外の大口顧客からの注文が突然キャンセルになるなど厳しい状況が続いたが,国内の事業は堅調に伸びた」(富士通の高谷卓副社長)。NECも「再編が相次ぐ金融機関のほか,通信会社や官公庁向けの事業が伸びた」(NECの松本滋夫取締役専務)結果,ソフト/サービス事業の売り上げは20%増の8600億円となった。

 一方のパソコン事業は,両社とも不振を極めた。富士通の国内出荷台数は2000年度(2000年4月~2001年3月)の300万台から258万台に14%も減少。単価の減少も同時に進行したことから,売上高は21%減の5000億円にまで落ち込んだ。NECのパソコン事業の落ち込みはさらに激しく,販売台数は20%減の280万台,売上高は26%減の7400億円に激減した。もちろん利益は確保できず,300億円の赤字を計上した。

 危機感を強めたNECは秋までをメドに,パソコン事業の構造改革をさらに進める。改革の目玉は,中国からの完成品調達によるコスト・ダウン。「上半期には全販売台数の25%,下半期には70%を中国から調達する」(松本滋夫取締役専務)方針だ。このほか,工場の統廃合で生じた余剰人員を配転して,サポート事業の外注要員を数百人規模で減らす。SCM(サプライチェーン・マネジメント)システムを再構築し,売れ残りの削減も図る。

 2002年度(2002年4月~2003年3月)のコンピュータ部門の連結売上高は,富士通が4%増の3兆6200億円,NECが横ばいの2兆2090億円を予想している。牽引役はやはりソフト/サービス事業で,両社とも10%前後の伸びを期待している。ハード事業はどちらも減収を見込んでおり,特にNECの方が落ち込みは大きい。

森 永輔=日経コンピュータ