CWCの浅羽執行役員 日本で初めて広域LANのサービスを始めたクロスウェイブ コミュニケーションズ(CWC,http://www.cwc.co.jp/)がIP-VPNサービスに参入する。サービスの名称は「広域IPプラットフォームサービス」。6月1日から提供を開始する。IP-VPNサービスは,IP(インターネット・プロトコル)のネットワーク上に実質的な専用線網を構築するもの。CWCのサービスでは,ユーザー企業がアクセス回線に安価なADSLなどを使えるようにした。

 大手の通信事業者が軒並みIP-VPNサービスに乗り出す一方で,CWCは広域LANで業績を伸ばしており,昨年まではIP-VPNの提供について否定的な見解を示していた。CWCの久木英次郎営業企画部長は,「現在はADSLの料金低下が激しく,安定性も多少良くなった。そのため,ADSLを利用できるIP-VPNサービスが欲しいというユーザーの要望が増えた。以前は企業ネットワークに不安定なADSLを使うことなど,ユーザーが受け入れなかった」と説明する。

 CWCは新サービスの提供と同時に「当社の広域LANとの接続サービスも提供する」(浅羽登志也執行役員,写真)という。これによりユーザー企業は,本社や支店を結ぶような通信量が多い基幹ネットワークには広域LANを使い,営業所や店舗など小規模で多数ある拠点との間ではIP-VPNで接続する,といった使い分けができるようになる。

 6月1日時点でのサービス提供地域は,北海道,東京,福岡など11都道府県。その後,順次全国に展開していく。アクセス回線には,フレッツ・ISDN,フレッツ・ADSL(1.5M,8Mビット/秒),Bフレッツが利用できる(これらはユーザー企業が用意する)。

 月額料金は基本サービス料,各県ごとの利用料金,拠点ごとのID利用料金からなる。それぞれ,10Mビット/秒で50万円から,1県当たり10Mビット/秒で25万円から,1拠点当たりフレッツ・ISDNの場合で3000円から。広域LANとの接続サービスに必要な料金については未定である。

鈴木 孝知=日経コンピュータ