西日本を中心にホテル事業を展開するロイヤルホテル(http://www.rihga.co.jp/)は4月下旬から,同社のリーガロイヤルホテル(大阪市北区)に客室から無線LANを使ってインターネットに高速接続ができるシステムを導入する。西日本のホテルで無線・高速インターネットを実現するのは同社が初めて。

 当初利用できるようにするのは,客室のうち23階,24階の2フロア63室。宿泊客には,無線LANカードを無償で貸し出す。市販の無線LANカードを使ってもインターネットに接続できる。

 今回のシステムの構築はNTT西日本が担当した。無線LAN機器にはシスコ・システムズの「Cisco Aironet 350シリーズ」を採用した。ロイヤルホテルの中村吉宏情報システム部長は,「お客様同士のパソコンの中身が見られないようにセキュリティを重視したため,シスコ製の無線LAN機器を採用した」という。

 シスコ製の無線LAN機器には独自のセキュリティ機能PSTF(パブリックリ・セキュア・パケット・フォワーディング)があり,クライアントの設定を何も変えずに,クライアント間の通信や盗聴を防ぐことができる。

 無線LANシステムの導入にあわせて,インターネット回線をNTT西日本が提供するBフレッツのベーシックタイプ(最大通信速度100Mビット/秒)に増強した。従来は128kビット/秒のOCNエコノミーを使っていた。中村部長は,「従来使っていたインターネット用の設備を利用したので,構築費用は数百万円程度で済んだ」という。

 無線アクセスポイントからルーターまでの回線に,電話線を使ってデータ通信ができる技術の一種であるHomePNA(ホーム・フォンライン・ネットワーキング・アライアンス)を使っている。このため,最大1Mビット/秒しかでずボトルネックが発生するので,「今後はVDSL(超高速DSL)への変更も検討している」(中村部長)。

 今後は,ホテル内の会議場や他の客室にも順次展開していく。将来的には,社内システムのネットワークも組み込む構想もある。中村部長は,「臨時のチェックイン・カウンタや,団体用のサービス窓口などを設置するときに利用できるようになる」と語る。
鈴木 孝知=日経コンピュータ