東京通信ネットワーク(TTNet,http://www.ttnet.co.jp)と鷹山(http://www.yozan.co.jp/)は,PHS事業の譲渡について会見した。両社は契約の詳細を詰めて,7月をメドに譲渡手続きを完了する。

  鷹山はTTNetから譲渡を受けるPHS事業を継続しながら,基地局設備の増強を実施。今秋にも都心部にあるPHSの基地局周辺で2Mビット/秒のデータ通信ができるホット・スポット・サービスなどを提供する予定である。鷹山はこれまで第3世代携帯電話に内蔵するICチップを提供するほかポケベル会社を買収していた。

 PHS事業を譲渡する経緯について,TTNetの白石智社長(写真右)は,「売り上げと加入者の減少に歯止めがかからず,あらゆる経営努力をしたが黒字化が見えてこなかった」と説明する。同社はPHSサービスをさらに高機能化することも検討したが,多額の設備投資が必要であることから断念。「限られた経営資源をブロードバンド配信事業や,企業向けの通信サービスを提供するパワードコムへのインフラ提供事業など,将来性のある分野に集中的に投入することにした」(白石社長)。2002年に入って譲渡の話が持ち上がり,3月になって具体化したという。

 一方,PHS事業の譲渡を受ける鷹山の高取直社長(写真左)は,「譲渡金額はまだ申し上げる段階ではない」としながらも,「世界でいちばん安く通信インフラを持つ会社になる」という。高取社長は「いかに設備投資を抑制するかが,通信サービスを提供する上で優位性につながる」という。

坂口 裕一=日経コンピュータ