「携帯情報端末(PDA)向け基本ソフトのPocket PCシリーズを採用した米国企業は,米コダックや米カールソン ホテルズ ワールドワイドなど100社を超える。無線通信サービスの充実に伴い,日本でもこうしたPDAの業務利用が進むだろう」。こう語るのは,米マイクロソフト コーポレーション モビリティグループのビンセント・メンディロ ワールドワイドマーケティング統括ディレクターだ(写真)。

 メンディロ氏は,PDAが業務システムの端末として普及するためには,「通信事業者による無線サービスの拡充や,ホットスポット・サービスのエリア拡大が不可欠」とみる。「米国では,スターバックスなどの飲食店や空港などでホットスポット・サービスが広がり始めたが,いっそう普及するためにはビジネスモデルの確立が必要」(同氏)と指摘する。

 マイクロソフトはPDA向け基本ソフトの最新版である「Pocket PC 2002」を,明確に企業向け製品と位置づけている。メンディロ氏は,「PDAの世界では,企業向けの製品と個人向けの製品をはっきり区別する必要がある。Pocket PC 2002は,業務利用に不可欠なスケーラビリティの点でPalm OSよりも優れている」と強調した。

 マイクロソフトは,Pocket PC 2002とExchangeとの間で電子メールやカレンダの機能を同期させるソフト「Mobile Information Server 2002 ActiveSync Edition」により,Pocket PC 2002の業務利用を促進したい考えだ。マイクロソフトは同ソフトの日本語版を2002年半ばまでに出荷する予定。

 一方,マイクロソフト日本法人は,Pocket PC 2002による業務システム開発を促進するために,OEM(相手先ブランドによる生産)各社やシステム・インテグレータとの連携を強めていく方針。今年1月にはインテグレータ向けの協業・教育プログラム「Mobile Partner Program 2002」を開始した。「得意分野を吟味したうえで協業を呼びかけている。参加企業はすでに20社に達した」(製品マーケティング本部の倉石英典マネージャ)。3月12日には,特にカシオソフト,SAPジャパン,シーイーシー,ビービーシステム,モバイルシスジャパン オフィスの5社を戦略的なパートナと位置付けて協力していく,と発表した。

広岡 延隆=日経コンピュータ