「サン・マイクロシステムズとマイクロソフトが訴訟を繰り返してきたのは,当社にとっては好都合だった。当社はスウェーデンのAppeal Virtual Machinesをこのほど買収し,インテル・アーキテクチャ上の最高速のJavaVM(仮想マシン)を手にした。マイクロソフトが明け渡した市場は当社の手に入った」。Webアプリケーション・サーバーWebLogicのベンダー,米BEAシステムズの創業者であるアルフレッド・チュアング社長兼CEOがこのほど来日,企業向けアプリケーションの基盤ソフト市場での優位性を訴えた。

 米BEAは1月末締めの2002年度も,売上高9億7590万ドルで前年度比19%増と好調を維持。買収費用などで最終的な純損失3600万ドル弱を計上したものの,チュアング社長は「見積(Pro forma)利益は大きく伸びた」と強調した。

 米BEAは2月25日にWebLogic Serverとポータル構築ソフト,開発ツールなどからなる基盤ソフト製品WebLogic Enterprise Platformを発表。「Webのプレゼンテーションだけでなく分散アプリケーションのための新しい高レベルAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェースを当社が再定義した」,「Javaエンタープライズ版のオリジナルを作ったのも当社。インターオペラビリティの要件を定義する地位を確保しており,当社がゲームのルールを決める立場にあるのだから,市場で勝利を得るのは当然」(チュアング社長)と豪語した。

 またBEAとIBM,マイクロソフト,富士通などが2月に設立した「Web Services Interoperability(WS-I)Organization」に,設立時にその不在が問題視されていた米サンも「メンバーとして参加するよう指名した。必ず参加するものと考えている」(チュアング社長)と語った。
 その上でチュアング社長は,「Javaそのものは企業のプログラマやビジネス・アナリストが直接使うには不向きな言語。BEAが提供する連携機能こそが,レガシー・システムやJavaのシステム,マイクロソフトの.NET構想やデスクトップ技術などをシームレスに統合できる」,「サンやマイクロソフトが300万人規模の開発者のコミュニティを形成しているというが,彼らの中心はデスクトップやゲームや技術計算の開発者だ。BEAにはJavaによるエンタープライズ・アプリケーションに集中した35万人の開発者コミュニティがあり,遠くない将来に100万人規模に拡大する」と,サンやマイクロソフトに対しても優位にあるとの強気な見解を繰り返した。

千田 淳=日経コンピュータ