日本情報処理開発協会の付属機関である情報処理技術者試験センター(http://www.jitec.jipdec.or.jp/)は,基本情報処理技術者試験においてコンピュータの画面上で試験を行う「CBT(Computer Based Testing)」を2003年度に導入する。情報処理技術者試験センターはCBTの導入に伴い,「試験の回数を現在の年2回から月1回程度に増やす」(林佐利総務部企画課長)意向だ。これに先立ち2002年4月からは,基本情報処理技術者試験の受験者の個人成績をホームページ,iモード対応ホームページ,音声とファクシミリによる情報サービスで本人が照会できるようにする。さらに他の情報処理技術者試験についても,個人成績を照会できるようにしていく方針である。

 CBTの具体的な導入時期は2003年の秋になる見込み。CBTは,民間ではマイクロソフトやオラクルなどの資格認定試験で採用されているが,国家試験で採用するのは初の試みとなる。基本情報処理技術者試験を足がかりに「他の情報処理技術者試験でもCBT導入の検討を進めていく考え」(情報処理技術者試験センターの林課長)という。経済産業省商務情報政策局の村上敬亮課長補佐は「CBTの導入によって,午前と午後の試験を別々の日程に分けて受験できるようにするといった展開も考えられる。受験者の便宜を第一に検討していきたい」と語った。

 このほか情報処理技術者試験センターは,CBT導入による試験回数の増加に伴い,試験問題の出版,販売を禁止する方針である。「基本情報処理技術者試験は国家試験であるため,その著作権は国に帰属する。記憶に基づいて再現したとしても出版行為は著作権侵害に当たる」(島津法律事務所の島津秀行弁護士)。経済産業省では「大局的に見れば,CBT導入が基本情報処理技術者試験に関連するマーケットを広げることになる」(経済産業省の村上課長補佐)として,過去問題集や参考書を発行する業者に理解を求めている。2001年度分までの出題分と,基本情報処理技術者試験以外の情報処理技術者試験については,従来通り過去問題集や参考書が出版できるという。

広岡 延隆=日経コンピュータ