「顧客満足度,社員満足度ともに昨年度は低下した」。日本IBMの大歳卓麻社長は2月25日,決算発表の質疑応答の場で,2001年度(1月~12月期)の満足度調査の結果を明らかにした。2001年度の業績は売上高が過去最高を記録したが,顧客と日本IBM社員の日本IBMに対する満足度はともに下がった。この点について,大歳社長は,「ゆゆしき問題」と述べた。日本IBMは顧客企業と自社社員を対象に,満足度調査を毎年実施している。

 大歳社長は,「満足度が低下した原因はほぼ特定できており,今年すでに対策を講じている。今年から上向くと思う」と続けた。満足度を下げた日本IBM社員が挙げた理由の中で一番多かったのは,「社内の仕事に時間をとられ,お客様に行く時間を取れなかったこと」だった。「社員満足度に引きずられる形で顧客満足度も低下した。社員が満足していなければお客様も満足しない」(大歳社長)。

 日本IBM社員が顧客になかなか行けなかった原因は大きく3点あった。製品の品質問題と納期問題,そして人的資源の不足である。製品の品質と納期について大歳社長は「昨年度,ある製品に不具合が生じた。特定の部品に問題があった。その意味では業界全体の問題とも言えるが,言い訳をしてもしかたがない。当社としても製品のトラブル時により機敏に対処できる体制を整えた」という。

 具体的には,今年から「問題解決の専門部隊」を設置した。製品にトラブルがあった場合や,納期が遅れた場合,専門部隊のメンバーが,顧客や製品開発部門と素早く連絡をとって解決に当たる。専門部隊には,「顧客と工場の両方がわかる専門家を30人配置し,問題解決に必要な権限を委譲した」(大歳社長)。ただし,スキルある人材が不足している問題は,今後も課題という。人的資源の調達については引き続き続けていくという。

 満足度の低下があったものの,決算はこの不況下では申し分ない内容だった。2001年度(1月~12月期)の総売上高は前年度比3.9%増の1兆7075億3500万円で過去最高。国内売上高は1兆4608億8800万円とこちらも過去最高で,伸び率は9.7%増ともうすこしで二桁成長であった。経常利益は5.0%減の1728億9000万円。当期利益は同0.2%減の1060億7800万円だった。(矢口 竜太郎=日経コンピュータ