日本IBMは3月29日から,メインフレームの新機種「e server zSeries 800(z800)」を出荷する。z800は全部で9モデルあり,すでに2000年12月から出荷している「z900」の下位機種という位置付けだ。同社はz800専用の新OS「z/OS.e」を,4月から出荷することも同時に発表した。COBOL言語が使えないなど,機能を限定する代わりにOSの価格を下げた。システム全体のコストを抑え,ユーザーに対しUNIXサーバーやIAサーバーからの置き換えをいっそう促す。

 z/OS.eは,従来のzSeries向けOS「z/OS」から,一部のソフトウエアの動作を制限したもの。「z/OS.e上では,COBOLやPL/Iによる開発は行えない。IMSやCICSといったソフトウエアも動かない。こうした機能を限定した分だけ料金を下げた。例えば従来の価格体系でz/OSの月額料金が280万の場合,z/OS.eでは13万にまで下がる」(日本IBMの星野裕 理事エンタープライズ・サーバー製品事業部長)。

 z/OS.eを搭載したz800のターゲットは,「ERPのシステムやWebシステムなど,UNIXサーバーやIAサーバーを何十台も並べて使っているようなシステムだ。z800に置き換えれば,システム運用などにかかる人件費が大幅に削減できるのは明らかだろう」(星野理事)。

 さらに星野理事は,「z800は,システム自体の価格だけを比べても,UNIXサーバーやIAサーバーと勝負できる料金体系にする」と続ける。ところが肝心のz800の価格は,「オープン価格なので,公表はしない。あくまでも個別の案件ごとに決める」(同)として,明らかにしていない。ただし「価格対性能比は従来からのz900と同じなので,z900よりも性能が5分の1のモデルであれば,価格も5分の1になる」(同)という。

 IBMのメインフレームの売り上げは,「世界規模では,z900を出荷した2000年12月以来,5四半期連続で2ケタ成長を続けている。現在最も成長しているプラットフォームと言える」(星野理事)。z800上ではz/OS.eのほか,従来からのOSであるz/OS,OS/390,z/VM,Linux for zSeriesも稼働する。

大和田 尚孝=日経コンピュータ