トヨタ・グループの自動車用鋼材メーカーである愛知製鋼と,通信機器ベンダーのマクニカは2月20日に,情報通信分野で業務提携したと発表した。愛知製鋼が開発したICチップ型の方位センサー「MI(マグネト・インピーダンス)センサー」を,マクニカが販売する。愛知製鋼は,方位センサーを小型・省電力化し,携帯電話やPDA(携帯情報端末)に搭載できるようにした。
現在,GPS(全地球測位システム)の機能などによって位置情報を取得できる携帯電話やPDAが登場しているが,いずれも「自分のいる場所」しか分からないのが弱点。そのため,端末の画面に地図を表示しても,「自分がどの方向に向いているのか」が分かりにくい。方位センサーを搭載した携帯電話を使えば,カーナビと同じように自分が進んでいる方向に応じた地図を表示することもできるので,道に迷いにくくなる。
MIセンサーの大きさは5.3×4.6×0.8mmで,消費電力は20mW。愛知製鋼の森田章義副社長は,「既存の最も小さな方位センサーと比べても,1/5以下の容積。消費電力も,現在使われている方位センサーの10分の1程度だ」と語る。
出荷時期は10月で,価格は数百円程度の見込み。マクニカは携帯電話やPDAのメーカー向けに販売する。愛知製鋼とマクニカでは,位置情報機能を持つ携帯電話やPDAの台数は年率80%の割合で増加すると予測している。MIセンサーの販売目標は,5年後の段階で100億円という。