社団法人の日本テレワーク協会(http://www.japan-telework.or.jp/)は3月から,慶応義塾大学と慶応義塾幼稚舎,およびマンションにギガビット単位の高速LANを設置し,かつそれぞれを100Mビット/秒や1Gビット/秒のブロードバンド回線で接続する実験を開始する。ブロードバンドが生活や教育の質的向上に与える影響を測ることが目的。慶応義塾大学が遠隔講義を実施するほか,同大学が用意した動画コンテンツを慶応幼稚舎やマンションから閲覧できるようにする。

 この実験では,各拠点のLANと拠点間のWANの両方にギガビット・イーサネットの技術を利用する。各拠点にあるパソコンは,互いに最大1Gビット/秒で通信できる。このように“エンド・ツー・エンド”でギガビット単位の通信が可能なネットワークの構築事例はほとんどない。

 各拠点のLANには,プラスチック製の高速光ファイバ(全フッ素光学樹脂光ファイバ)「GI-POF」を採用した。使用したGI-POF製品は,伝送距離が最大200メートルで,すでにオフィスビルやマンションなどのLANに利用されている旭硝子の「ルキナ」だ。

 GI-POFは,現在の主流であるガラス製の光ファイバに比べて,設置コストが約半分で済む利点がある。また,プラスチック製の従来型の光ファイバ(POF)は,ギガビットの通信が可能な伝送距離が最大数十メートルと非常に短いという短所があった。

 GI-POFを開発した慶応義塾大学の小池康博教授は,「GI-POFは取り扱いが簡単で,光ファイバの敷設や光ファイバ同士の接続に必要なコストを大幅に軽減できる。将来,伝送距離の長いGI-POFを製品化すれば,“ラスト1マイル”の回線にも適用できる」と説明する。

鈴木 孝知=日経コンピュータ