公正取引委員会は2月7日,富士通に対して,官公庁のシステム調達案件の安値入札が,独占禁止法に違反するおそれがある,として警告を行った。警告を受けたのは,昨年11月の日立製作所に続き2社目。富士通は「深く反省し,再発防止に向けた対応を進める」というコメントを発表した。

 警告の対象となった入札案件は,昨年9月21日に行われた,金融庁の「申請・届出等手続をオンライン化するためのシステム及び総合的文書管理システム一式の購入」で,富士通が303万円で落札した。富士通の広報室によればこのほかにも,愛知県の電子地方政府調査委託(昨年4月,落札価格は4800円),京都市の財務会計システム(同年7月,360万円),内閣の情報セキュリティ対策支援システム(同年9月,297万5000円)での落札が,「同様の疑いがある」として警告の対象になった。

 富士通は金融庁の案件に関して,「現在は十分に反省しているが,当時は不適正な価格とは認識していなかった」(広報室)と説明。単独の案件としては赤字であることを認めたものの,「次年度以降の案件や付随する案件が獲得しやすくなると期待したわけではない。新技術に取り組む挑戦の機会をいただきたかった」(同)と語った。

 富士通は警告に先立つ1月4日に,自社の安値入札をチェックするための「コンプライアンス推進委員会」(委員長は高谷卓副社長)を発足。今回の警告については,「すでに社内と関係会社への指導を徹底している」と説明している。

(広岡 延隆=日経コンピュータ)