富士通の高谷卓副社長は1月29日,2001年10~12月期の決算発表の場で,同社のSE部門であるシステム本部が昨年,協力ソフト会社に対して一律10%の外注費値下げ要請をした件について苦言を呈した。

 高谷副社長は,「外注いじめをしたところで,収益性は高まらない。この件が報道された結果,今度はユーザー企業から当社に対して値下げ要求が来ることになるからだ」と語る。「ソフトの部品化や再利用など,実質的な生産性向上策で成果を上げないと,(利益率という意味では)結果は同じだ」と続ける。

 富士通の2001年10~12月期のソフト・サービス事業の営業利益率はわずか4.6%。営業利益率が1.5%しかないハード事業に比べれば,まだマシだが,決してほめられたものではない。IBMを追ってソフト・サービス事業へのシフトを進める富士通にとって,ソフト・サービス事業の利益率向上は生命線と言える。高谷副社長の発言は,EJBコンポーネントの整備など現在進行中の生産性向上策にさらなるスピードアップを促したものとも言える。

森 永輔=日経コンピュータ