電子モール/ISPサービス「e!コレねっと」を展開するブロックライン(東京都港区)は,インターネット・サービスのシステムをフリーソフトで全面刷新した。2001年4月から開発作業を開始,2001年11月に新システムへの移行が完了した。現在,約10万人の顧客にサービスを提供している。今後,導入した新システムを基にWebでの購買行動を分析・データベース化し,他社に販促ノウハウなどをコンサルティングする事業を開始する計画も明らかにした。

 顧客管理などのデータベースにはフリーのPostgreSQLを,WebサーバーにApacheを採用。OSにはRed Hat Linuxを利用した。システム構築費用は2000万~3000万円。ハードは,サーバー2台とRAID装置,ファイアウオールを新規に導入した。自前で部品を組み立てたため,ハード費用は全構築費用の数%に抑えることができたという。

 ブロックラインは開発期間を短縮するため,フリーのサーバー用スクリプト言語として注目を集めているPHPを利用した。ブロックラインの仙波房太郎セキュリティグループ グループマネージャーは「サービス拡大やキャンペーンにあわせ,短期に機能を追加する必要があった」と説明する。開発は,オープンソースに特化したシステム・インテグレータのバンテン(東京都台東区)に依頼。「PHPならスクリプトを書き換えることで簡単な修正なら素早くできる」(バンテンのニール・バンワウ副社長)という。

 まず2001年5月に「バーチャル・カード・システム」という,ダイエーのカード会員でなくても電子モール/ISPサービスの利用登録ができるシステムをPHPで新規開発し追加。また2001年11月には,主婦を対象にした「はっぴーママ」というコミュニティー・サイトの運営も開始した。それと並行して,それまで利用していた会員管理やサービス変更などの既存システムもPHPで作り変えていった。カード保有者と非保有者といった属性ごとにアクセスできる範囲を制御する機能などを追加したという。2001年11月には,従来の顧客マスターを新規システムに統合し移行作業が完了した。

 ブロックラインは,ダイエーのカード会社「ダイエーオーエムシー」などが出資するインターネット・サービスの戦略子会社。これまでブロックラインは,ダイエーのカード会員を中心にサービス提供してきたが,今後は,ダイエーのカードを所有していない利用者も増やしていく。ここで集めた顧客の購買行動の分析結果をもとに,ダイエー・グループ以外にも,新製品の販促支援などのマーケティング・サービスを売り込んでいく。

鈴木 淳史=日経コンピュータ