「Webサービスの進化を決定づけるのは,フェデレーション技術だ」。米マイクロソフトで.NET関連技術開発を担当するエリック・ラダー上級副社長(写真)は,こう断言する。

 耳慣れない「フェデレーション技術」とは,複数のWebサービスを連携させる技術のこと。具体的には,利用者が1回認証を受けるだけで複数のWebサービスを利用できるようにする「シングル・サインオン」や,あるWebサービスの処理結果を他のサービスに受け渡す,といった技術を指す。

 ラダー上級副社長は,フェデレーション技術の実装例として,銀行のATM(現金自動預け払い機)を挙げる。「利用者は1枚のキャッシュ・カードで,複数の銀行のATMを利用できる。現金を引き出すだけでなく,振込やキャッシングといった様々なサービスを受けることも可能だ。ATM同士がフェデレートしているからこそ,こうしたサービスが実現している」。

 ラダー上級副社長は,「.NETが目指すのは,『いつでも,どこでも,どんな機器でも』ソフトウエア・サービスを利用できる環境。これを実現するためには,インターネット上のサービスとイントラネット内のサービスをフェデレートさせることが不可欠だ」と続ける。

 そこでマイクロソフトは,2002年半ばにも出荷する次期OS「Windows.NET Server」に,社内外のWebサービスをフェデレートさせる技術を盛り込む。企業内のユーザー認証・管理システムである「Active Directory」と,インターネット上のユーザー認証・管理技術「Passport」を統合する。

 Active DirectoryとPassportのフェデレーションによって,どちらか一方で認証を受けたユーザーは,もう片方の認証を採用したサービスを再認証することなく利用できる。インターネット上に分散した複数のデータベースを論理的に1つに見せたり,インターネットをまたいだ企業間連携システムを容易に構築できるようになるという。

玉置 亮太=日経コンピュータ