日本IBM,NEC,日立製作所,富士通の4社は1月22日,昨年5月から共同で取り組んできたLinuxの機能強化に関する協業の成果を発表した。Linuxカーネルに障害が発生したときの原因究明に役立つ二つの機能に手を加え,“オープンソース・コミュニティ”に提案した。いずれも大規模な基幹システムの構築・運用に不可欠なものである。

 機能強化の一つは,Linuxカーネルの異常が原因で障害が発生したときに“ダンプ”を採取する「LKCD(Linuxカーネル・クラッシュ・ダンプ)」。例えば,主記憶が大容量でも短時間でダンプを採取できるようにしたり,OSの動作が不安定な状況でも確実にダンプを採取できるようにした。もう一つは,Linuxカーネル内部の引数や変数の値の変化を記録する「LKST(Linuxカーネル状態トレーサ)」である。

 4社は研究成果を,すべてオープンソースにする予定。すでにLKSTについては,そのソース・コードをWebサイト(http://oss.hitachi.co.jp/)で公開している。

 4社はさらに,Linuxディストリビュータであるレッドハット(http://www.jp.redhat.com/),ターボリナックス ジャパン(http://www.turbolinux.co.jp/),ミラクル・リナックス(http://www.miraclelinux.com/corp/)に対して,LKCDとLKSTの採用を働きかける考えだ。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ