日本電子公証機構(http://www.jnotary.com/)は1月21日,インターネット上で利用者の身元を保証する電子認証サービス「iPROVE」を開始した。iPROVEのデジタル証明書を発行する体制が政府のお墨付きを得ていることが特徴。具体的にサービス提供主体の日本電子公証機構が,政府指定の認定機関から,電子署名法(正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」)が定めるデジタル証明書の発行体制や認証局システムのセキュリティ管理方法などの基準をクリアしているかどうかの審査を受け,これにパスした。

 日本電子公証機構の菊田昌弘 代表取締役は政府認定を取得した理由について,「インターネット利用者が安心して当社の電子認証サービスを利用できるようにするため」と説明する。「すでに提供している,ファイルの原本性を保証するサービス“dPROVE”とともに,今後も安心してインターネットを利用するためのインフラ・サービスを提供していきたい」と意気込む。政府認定を受けた電子認証サービスの提供者は,日本認証サービス,帝国データバンクに続いて3社目。

 日本電子公証機構は,電子認証サービス・ベンダーである日本ベリサイン(http://www.verisign.co.jp/)の電子認証サービス「Verisign OnSite」を利用してiPROVEを提供する。サービス提供用システムは,日本ベリサインと共同で構築した。日本ベリサインの荒木義晴コンサルティング部長は「当社のサービス利用企業のなかで最初の政府認定だったので,電子署名法の条文を厳密に解釈して慎重にシステムを構築した。政府認定のノウハウを蓄積しながら,高いセキュリティを確保したシステムを構築できた」と語る。

 iPROVEの利用者は,インターネット上で本人の身元を確認する「デジタル証明書」を日本電子公証機構から取得する。デジタル証明書は,電子メールに添付する「電子署名」に加えて,電子メール本文や添付ファイルの暗号化通信に利用する。iPROVEの利用料金は,デジタル証明書1通あたり年額7000円。デジタル証明書は1024ビットの暗号鍵を処理可能なInternet Explore 5.5やOutlook Express 5.5で利用できる。

 日本電子公証機構は2000年4月に設立した株式会社。亜細亜証券印刷やベンチャ企業のシナジー・インキュベートなどが出資している。

西村 崇=日経コンピュータ