米セールスフォース・ドットコムのベニオフCEO CRMソフトのASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業を手がける米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEO(最高経営責任者)が,日経コンピュータ記者と会見,「顧客企業数では,CRMソフト市場で先行する米シーベル・システムズを追い抜いてトップに立った」とする認識を示した。

 セールスフォース・ドットコムは1ユーザー当たり月額65ドルという格安のASPサービスを2000年3月から開始,全世界で3600社の顧客企業からサービス契約を獲得した。顧客企業数の伸びと同時に,売上高と利益も順調に伸びており,「今年3月(2001年4月~2002年3月)期は黒字に転換する」(ベニオフCEO)という。

 ベニオフCEOは好調の原因を「市場に出回っているCRMソフトは導入にコストと手間がかかるため,(導入が簡単でコストも安価な)当社のASPサービスへの関心が高まっている」と分析する。「米ガートナー・グループの調査によると,CRMソフトを導入しようとした顧客企業の55%が失敗に終わっている」とも付け加える。

 CRMソフト市場の競争は激化にも強気の姿勢をとりつづける。米シーベルは昨年末に最新版「Siebel 7」を出荷。独SAPや米オラクル,米ピープルソフトなどのERPパッケージ・ベンダーもCRMソフト市場に本格的に参入してきた。しかしベニオフCEOは「ライバル各社が手がけているようなCRMソフトをライセンス販売するというやり方はもう古い。顧客にとってはリスクが大きい。今後は,当社のようなASPサービスが主流を占める」と豪語する。

 ASPサービスというと,ソフトを利用する際の処理性能を問題視する向きもあるが,ベニオフCEOは「詳細は明らかにできないが,システムやネットワークの管理ノウハウを確立しており,まったく問題ない」と断言する。「当社の調査結果により,サービスの処理速度や機能の面で,95%もの顧客企業が満足していることが分かった」と続ける。

 米セールスフォース・ドットコムは日本法人(http://www.salesforce.co.jp/)を介して国内でも2001年2月からCRMソフトのASPサービスを始めている。

戸川 尚樹=日経コンピュータ