富士通は2002年1月,同社が入札するシステム開発案件に対して,入札価格が適正かどうかをチェックするための委員会を設立,活動を開始した。これで安値での入札を一切なくすという。チェックの対象となる案件には,政府関連のシステム調達のほか,民間企業のシステム開発案件も含む。委員会のメンバーは,富士通の役員を中心に十数名。役員がすべての入札金額を確認することで,責任をもって安値入札を完全排除するという。

 2001年には,政府のシステム調達を超安値で落札した大手ITベンダーが相次ぎ,批判を浴びた。今後も安値入札を続けると,公正取引委員会に摘発され入札停止処分に追い込まれる可能性がある。これを防ぐために,役員が責任を持つ委員会が必要と判断した。 

 富士通によれば,同社が占める官公庁関連システムのシェアは約35%という。これを「40%まで引き上げることを目指している」(富士通の高島章専務)。一方で富士通以外の大手ITベンダーが安値入札を続ければ,富士通が落札できる案件が減少し,結果として同社のシェアが低下する可能性がある。これについて高島専務は,「断固として安値入札はやらない」と断言,「入札の仕組みが改善されれば,提案力と中身の勝負になる」と述べた。

大和田 尚孝=日経コンピュータ