IPA/ISEC(情報処理振興事業協会セキュリティセンター)は12月18日,インターネット利用者に対し「緊急警報」を発令した(http://www.ipa.go.jp/security/topics/alert131218.html)。Webブラウザ「Internet Explorer」のセキュリティ・ホールを狙う「Badtrans」や「Aliz」といったウイルスに対して万全の対策を取るよう呼びかけている。「“自分は関係ない”と思っている利用者でもウイルスの攻撃を受ける可能性は大きい。被害に遭うまえに,ウイルス対策ソフトを正しく利用したり,セキュリティ・ホールを埋めるための修正プログラムを適用しておくなど,予防を心掛けてほしい」と,IPA/ISECウイルス対策室の木谷文雄 室長補佐は訴える。

 IPAによると,2001年1月1日から12月14日までに,ウイルスを発見したというインターネット利用者からの届出は2万2516件。2000年通年の1万1109件に比べて,倍増している。このうち実際に感染したという届出は全体の19%で,前年(20%)とほぼ同じ割合だった。「当センターで通常受け付けている届出のおおむね8割が企業からのもの。それを考えると,企業におけるウイルス対策がかなり浸透しているため,感染届出の割合が横ばいになっているのではないか」と,木谷室長補佐は推測する。

 木谷室長補佐は一方で,個人ユーザーからの届出が最近増加していることを指摘する。「11月は2割程度の届出割合だったのが,12月に入って半月ほどで4割に倍増している。ウイルス感染後に,あわててウイルス対策ソフトを入れるユーザーも多いと聞く。感染すると復旧が困難なウイルスもあるので,注意してもらいたい」(木谷室長補佐)。IPAではインターネット初心者向けに,ウイルス対策の情報を提供する専用Webサイト(http://www.ipa.go.jp/security/y2k/virus/cdrom/index.html)を公開している。

西村 崇=日経コンピュータ