東証1部上場の専門商社,稲畑産業の稲畑武雄社長が11月27日に記者会見し,「IT(情報技術)不況の深刻さが報道されているが,何も特別なものではない。調整に多少の時間はかかるものの,調整局面が終わり次第,再びITが日本経済のけん引役になるだろう」との見通しを語った。

 「IBMが業界初の汎用機『S/360』を発表して以降,日本のIT産業は常に成長基調にある。その歴史は“過剰投資”の繰り返しで,幾度も調整局面を経験してきた。インターネットの普及によってITの利用が個人や家庭にまで広がった分,過剰投資とその揺り戻しは大きくなっている。しかし,本質はこれまでと何ら変わらない」というのが,稲畑社長が示す根拠だ。稲畑社長は1969年の入社。その前は日本IBMに勤めており,ITへの造詣は深い。

 稲畑産業はこうした市場分析を踏まえ,現在は売上高比率が25%程度であるIT関連製品の事業を,2004年3月期には35%程度にまで拡大させる意向だ。同社は,半導体製造装置や液晶ディスプレイ用の偏光板などを取り扱っている。

森 永輔=日経コンピュータ