「ブロードバンドの主軸になるのは,映画などの動画配信サービス。回線やハード,ソフトなどを総合的に判断すると,商用ベースの動画配信サービスに耐え得る技術が確立するまでには2~3年かかる」。インターネット・データセンター・ビジネスを促進する任意団体「iDCイニシアティブ」の副会長を務める長井正利氏は,こう語る。

 ブロードバンドによる動画配信の現状について,長井氏は「デジタル・ハイビジョン品質の映像を配信するには20M~30Mビット/秒の通信速度を維持する必要がある。またメディアプレイヤーやリアルプレイヤーなど現在普及している動画再生ソフトでは,ユーザーがお金を払うような高品質の画像を再生できない」とする。

 長井氏は大容量のストレージやインターネット・データセンターを光ネットワークで結ぶサービスを提供するエントレージ・ブロードコミュニケーションズ(http://www.emtorage.com/)の社長も務めている。

 長井氏は「動画配信を商用ベースでユーザーに提供するためには,高速で安定したバックボーン回線とインフラが必要になる。これらを一つのデータセンターで提供するのは難しいが,各企業のデータセンターを,当社のサービスを使って光ネットワークで相互接続すれば実現できる」という。

鈴木 孝知=日経コンピュータ