ビザのバービッジ氏 「携帯電話やPDAなどのモバイル機器からクレジットカード番号を入力・送信する,といった電子決済の方法は,現状では乱立している。金融機関や通信事業者が独自の方式を提案しているからだ。しかし,決済方法が多いと不便なので,一般消費者は納得しないのではないか」。こう指摘するのは,来日中の米ビザ・インターナショナル アジア太平洋地域担当のマーク・バービッジ上級副社長。

 「このまま各事業者が独自の決済サービスを提供するようでは,消費者向け電子商取引(BtoC)の市場は活性化しない。金融や通信など複数の業界が集まって,世界共通のオープン・スタンダード作りを目指すことが重要だ」。バービッジ氏はこう力説する。

 ビザは,JCBやマスターカード,アメリカン・エキスプレスといったカード会社と共同して,「モバイル決済フォーラム」という団体を立ち上げる(注:米国時間11月6日に正式発足)。ここで,将来の携帯電話などのモバイル環境を利用した,電子決済方式の共通仕様を策定することを目指して協議する。通信事業者も参加し,日本からはNTTグループがフォーラムの参加を表明しているという。バービッジ氏は,「モバイル向けの決済方法のオープン・スタンダード作りにケータイ先進国である日本の通信事業者が参加するのは,大変意義があること」と評価する。

西村 崇=日経コンピュータ