マイクロソフトは10月31日から,カーナビなど車載情報端末向けOSの新版「Windows CE for Automotive v.3.5」の有償提供を始めた。同OSは,PDA(携帯情報端末)などモバイル機器向けOS「Windows CE」を改良し,カーナビに必要な地図描画機能や,ハンズ・フリーを実現するための音声認識機能を加えたもの。

 従来から,携帯電話と接続することで電子メールを受信できるカーナビはあったが,同OSを搭載した車載情報端末は,より“パソコン”に近づく。各種アプリケーションをダウンロードすることで機能を拡充できるからだ。例えばマイクロソフトの「Outlook」で,メール管理やスケジュール管理ができる。テレビやラジオに加え,MP3,MPEG-4方式による音楽・動画再生といったカー・オーディオ代わりにすることも可能だ。

 今回のバージョンアップでは,アイコンなどのユーザー・インタフェースや画面のデザインをXML(エクステンシブル・マークアップ・ランゲージ)リソース・ファイルで定義できるようにした。これにより,同じプログラムでも別のデザインでカーナビ用アプリケーションを開発できる。複数の自動車メーカーにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する車載情報端末メーカーにとっては便利な機能だ。「従来,カーナビのソフト開発のうち3分の2の工数を必要としていたデザイン設計を,大幅に短縮できるようになる」(マイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッドの平野元幹ITS戦略統括部長)。

 Windows CE for Automotive v.3.5を搭載した車載情報端末は,デンソー,クラリオン,ケンウッド,鳥取三洋電機の4社が来年中に投入する予定だ。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ