マイクロソフトの阿多社長とISIDの瀧浪社長 マイクロソフトと電通国際情報サービス(ISID)は10月30日,金融機関向けのビジネスを共同で進めることで提携した。両社が協力して,ISIDの金融機関向けソフトをWindows 2000およびサーバー・ソフト製品群の.NET Enterprise Serverに対応させるとともに,営業やマーケティング,システム開発,技術サポートなどを共同で進める。金融分野における,Webサービスの利用に関しても,両社のユーザー企業も巻き込む形で模索していく考えだ。

 マイクロソフトの最大の狙いは,Windows 2000と.NET Enterprise Serverを金融業界に拡販すること。同社の阿多親市社長(写真右)は,「これまで,当社はプラットフォームを提供するだけで,アプリケーション開発はパートナ企業にお任せしていた。今後はユーザー企業を,ISIDのようなシステム・インテグレータと協調しながらサポートしていきたい」と語る。

 ISIDの瀧浪壽太郎社長(写真左)は,「マイクロソフトと提携したのは,ユーザー企業に対して,よりクオリティの高いサービスを提供するため」と話す。将来的には米マイクロソフトと協業し,活動を海外にも広げる予定という。ただし瀧浪社長は,「当社は,今後も中立的な立場を守る。マイクロソフト以外の製品も積極的に扱うつもりだ」と強調する。

 提携の第1弾として,ISIDは11月1日付けで社内に「金融.NET技術グループ」と呼ぶ部門を設置。ここが,自社の金融機関向けソフトを.NET Enterprise Serverに対応させる作業を担当する。当初は20人で,2年目以降に40人体制にしていく予定。同日付けで,.NET Enterprise Server上での動作検証やベンチマーク・テストを行う「金融.NET技術ソリューションセンター」も設置する。

 ISIDは金融向けソフトに関して,マイクロソフトが認定する「Certified for Windowsプログラム」のロゴ取得も目指す。一方,マイクロソフトは11月1日付けで,ISID選任の技術支援窓口「ISID支援選任グループ」を設置する。

 すでに両社は共同で,アイワイバンク銀行(http://www.iy-bank.co.jp/)のインターネット・バンキングのシステムを構築中という。このシステムは,ISIDの金融向けソフトとWindows 2000 Server,.NET Enterprise Serverを組み合わせて実現する。両社は今回の提携により,2002年3月までに同案件を含めて10億円(ISIDの受注ベース)の売り上げを目指す。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ