NTT東日本とNTT西日本は10月25日,ADSL接続サービス「フレッツ・ADSL 1.5Mタイプ」の月額利用料金を再値下げし,月額3100円から同2900円にすると発表した。ヤフーのADSL参入以降,3度目の値下げとなる。新料金は12月1日から適用する。このほかNTT東日本は最大速度が8Mビット/秒のサービスを12月25日から開始することも明らかにした(西日本は提供せず)。8Mタイプの料金は現行と同じ3100円で,東京23区内を皮切りに順次対応エリアを拡大する。

 今回の値下げと併せて,NTT東西地域会社は「マイラインプラス」とのセット割引も新たに導入した。フレッツ・ADSLを利用する電話回線で,市内電話と同一県内の市外電話の2区分をマイライン登録すれば,月額利用料金を10%割り引く。例えば1.5Mタイプの月額利用料は2610円になり,最安値のプロバイダ料金と組み合わせると合計で3490円で済む。8Mタイプは,これより200円程度高くなる。

 ヤフーのADSL事業参入によって,ADSL業界では急激な値崩れが進んでいる。今回の再々値下げは,価格競争力が急速に落ちていることへの対処策だが,KDDIや日本テレコム,ニフティといった大手は,すでに1.5Mタイプを2000円台後半の通常価格で提供しており,依然としてNTTの価格競争力は弱い。8Mタイプにしても,ヤフーは割引なしで2280円(別途NTT回線使用料187円が必要),KDDIはマイライン割引を適用すると2980円(同),さらに期間限定割引の適用で1980円(同)と,NTT東西地域会社より安い。

 NTT東日本の営業を統括する古賀哲夫取締役は,「今回の値下げでほとんど利が出なくなった。赤字を出してまでやるつもりはない。マイラインのセット割引を適用すれば,価格競争力は十分にあると思う」とコメントしている。

井上 理=日経コンピュータ