モバイル機器向けプロセサ設計の最大手である英ARM(http://www.arm.com/jp/)は10月19日,「ARM アーキテクチャ v6」を発表した。同社は従来のアーキテキチャ「v5」に準拠したプロセサ「ARM926EJ-S」を投入したばかりだが,早くも新アーキテキチャを発表することで,市場での優位性を保つ考え。

 ARMのアーキテクチャに基づくプロセサは,携帯電話やPDA(携帯情報端末),デジカメなどに広く利用されており,最近ではNTTドコモのFOMAにも採用された。マイクロソフトのPDA向け最新OS「Pocket PC 2002」も,ARM仕様のプロセサだけに対応している。

 新アーキテクチャの「v6」では,省電力化を図るとともに,グラフィックス関連の機能を強化した。マルチメディア処理を効率的に実行する「SIMD(単一命令複数データ処理)」機能を追加することで,音声や映像の処理を従来の4倍に向上させた。

 英ARMのデビット・ブラッシュ氏は,「パソコン向けプロセサでは一般的な技術だが,携帯電話などのモバイル機器に使う低消費電力プロセサでSIMDを採用するのはv6が初めて」と話す。さらに,Javaの処理速度が高めたほか,マルチプロセサに対応した。

 v6を採用したプロセサの出荷は2002年の後半になる。早くも,半導体大手の米テキサス・インスツルメンツが採用を表明した。

鈴木 孝知=日経コンピュータ