NECは10月18日,米国での光アクセス製品事業の強化を発表した。米国でATM(非同期転送モード)に対応した通信機器「FiberSLAM」の拡販に乗りだす。このため,NEC USAの100%子会社で光アクセス製品の製造販売を手がけるNECエルミナントテクノロジーズを増資。新株を発行して,NECが800万ドル,伊藤忠商事が1800万ドルを引き受ける。伊藤忠商事はこれを機に,ネットワーク管理サービスと通信機器を合わせて提供するビジネスを検討する。

 NECネットワークスの広崎膨太郎執行役員光ネットワーク事業部長は,「米国の景気は後退しつつあるが,データ通信量は増加し続けている。米国の通信事業者は,ATM(非同期転送モード)を使ったネットワーク資産を余らせており,これを生かした高速なファースト・ワンマイルの接続が普及する」と予想している。

 ユーザー企業とネットワークを接続するファースト・ワンマイル部分には,ATM-PONという技術を利用する。PON(パッシブ・オプティカル・ネットワーク)は,収容局(電話局など)とユーザー企業を結ぶ光ファイバの途中を分岐させ,複数のユーザー企業が光ファイバを利用できるようにする技術。ファースト・ワンマイルの光ファイバの敷設コストを節約できるメリットがある。

 NECエルミナントテクノロジーズの牧野州哲社長兼COOは,9月11日に発生した同時多発テロの影響で通信需要が増えると見ている。「企業ユーザーの間ではテレビ会議や,在宅勤務,携帯電話の価値が見直されている。本社を1カ所に集めず,分散させた方が良いという議論もある。結果的にネットワークの利用が進み,半年から1年後には光ファイバによるブロードバンド接続サービスが普及するのではないか」という。

坂口 裕一=日経コンピュータ