会計・販売業務パッケージ「弥生シリーズ」を販売するインテュイット日本法人は,新たな市場として100~200人の中規模な企業ユーザーの獲得を強化していく。弥生シリーズの新版の発表会で同社の平松庚三社長兼CEOは,数百人規模向けの業務パッケージで高いシェアを持つオービック・ビジネス・コンサルティング(OBC)の「奉行シリーズ」や,ピー・シー・エー(PCA)が販売する「PCA会計」などに対抗すると宣言した。インテュイット日本法人はこれまで小規模企業向けの市場を得意としていた。

 同社は12月7日に発売する「弥生会計 02 Professional」と「弥生販売 02 Professional」を,100~200人の中規模企業獲得のための戦略製品として位置付ける。従来版に比べ,複数部門での連携やカスタマイズの機能を強化した。さらに近々,中規模企業をターゲットとした製品を数種類,追加発売する。

 これに先駆け,11月にもパートナ企業を募集し,弥生シリーズのAPI公開や技術情報,開発ツールの提供によって販売支援を行う「Intuit Developers Network(IDN)プログラム」を開始する。本支店間のデータ連携システムや業務・業種特化のテンプレートの開発など,中規模な企業で発生しそうな個別のニーズに応えていく体制を作る。

 一方,開発支援体制を整えるだけでなく,インテュイットが持ち合わせていない営業支援や人事管理,福利厚生といったソフト機能やサービスの分野で,他のソフト・メーカーやサービス事業者と積極的に協業を進めていく。特にOBCやPCAに対してシェアを逆転するために,日本版401k(確定拠出型企業年金)への対応や,2003年から始まる電子税務申告などの新機能・新サービスの提供で先行していきたいという。

 インテュイット日本法人のユーザー企業の90%強は50人以下の企業。中でも10人以下の小規模企業がユーザーの約50%を占める。同社の平松社長兼CEOは「現在,小規模企業向けの市場で当社は47%のシェアを持っているものの,同市場全体の規模は240億円と小さい。今回,100~200人の企業を獲得するための製品を発売することで,将来的に3000億円に膨らむと見られる業務パッケージ関連の市場に参入する」とし,売り上げ拡大を狙う考えを示した。だが,具体的なシェアなどの目標は明言を避けた。

鈴木 淳史=日経コンピュータ