「調査会社の調べによれば,世界の携帯端末市場を見ると現在,PalmがPocket PCを上回っている。この市場は2005年まで年率数%ずつ拡大するが,PalmとPocket PCの差は変わらないと予測されている。しかし,私はこの予測通りにシェアが推移していくとは思っていない。数年内には,Palmに追いつくのではなく,抜き去りたい」。マイクロソフト日本法人の阿多親市社長は10月5日,「Pocket PC 2002 Software」発表の席上で強気の見通しを述べた。

 阿多社長は,Palmに対するPocket PCの優位点として,「Pocket PC向けソフトやサービスを開発するパートナ企業が多い,サーバーとの連携が容易,アプリケーション開発環境が充実している」の3点を挙げた。

 「当社はソフトの提供に徹しており,すべてのハード・ベンダーやソフト・ベンダーに等しく情報を出している。この結果,強力なパートナシップを築けた。これに対し,米パームはOSを開発すると同時に,自社でハードも開発・販売している」(阿多社長)。

 今回,富士通がPocket PC搭載の携帯端末を製品化する意向を正式に表明した。これでPocket PC陣営は,カシオ計算機,コンパックコンピュータ,東芝,NEC,日本ヒューレット・パッカードと合わせて計6社になった。年内には,各社からPocket PC 2002搭載機が発売される。Palm仕様の端末を国内で販売しているのは,Palm本体に加え,ソニー,日本IBM,ハンドスプリング,米TRGプロダクツなど。

 マイクロソフトはPocket PC 2002で,企業向けの機能を強化したとしている。VPN(仮想私設網)への接続機能を新たに搭載したほか,LAN上のファイル・サーバーに保存したパソコン用のファイルを参照できるようにした。(玉置 亮太=日経コンピュータ