「Sun Fire 15Kと当社のpSeries 690にどれだけ機能の差があるかを,これからの5分間でご理解していただく」。日本IBMの東上征司Webサーバー製品事業部長は10月4日,UNIXサーバー新製品の説明をこう切り出した。

 日本IBMは4日の午後,e server全般にわたる発表会を開催,冒頭でUNIXサーバー最上位機の新製品pSeries 690を発表した。東上事業部長はプレゼンテーションの開始早々に,サンが同日午前に発表したSun Fire 15KとpSeries 690の機能比較表を示し,5分間で両製品の差を説明した。

 「プロセサの単体処理性能はサンの2倍」,「論理分割機能を装備しておりシステム構成を柔軟に変更できる」,「自己修復機能を持っているのでシステムはほとんど停止しない」,「価格はサンの2分の1」といった具合である。

 これまでIBMは,「他社製品との比較はしない」というポリシーがあった。IBM黄金時代の独禁法の縛りからだが,今やIBMはサンを追う立場。このため,公式の会見ではおそらく初めて禁を破った。

 東上事業部長に先立って挨拶した,サーバー事業の責任者である小出伸一システム製品事業部長も,「今日は幸運なことに,午前中にサンが最上位機を発表している。サンの製品に比べて,われわれの製品がいかに優れているかが,よくご理解いただけると思う」,「これから発表する最新・最強のテクノロジと将来ビジョンをもって,話題となっているサーバー市場の主導権争いに終止符を打つ」と,サンを意識した発言をした。

 一方,午前中にSun Fire 15Kを発表したサン・マイクロシステムズ日本法人は,シェア1位の貫禄からか,淡々としていた。プレゼンテーションに立った,マーケティング担当の細井洋一取締役は,「サン対IBMとか,サン対IA-64とか言われているが,これはベンダー中心の議論で,ユーザーが不在だ」と指摘するにとどめた。

 発表会が終了した後,記者は菅原敏明社長に,「午後に日本IBMの発表があります。どうですか」と質問をぶつけたが,菅原社長は,「日本IBMとは,仲良くやっていきますよ」と余裕を見せて質問をかわした。

森 永輔,玉置 亮太=日経コンピュータ